目次
キャリアコンサルタントは、就職や転職などキャリアに関するアドバイスを行う専門家です。ここでは、国家資格であるキャリアコンサルタント試験に合格するための勉強方法や試験の概要・難易度について解説します。キャリアコンサルタントに関心のある方はぜひ参考にしてみてください。
キャリアコンサルタント試験とは
キャリアコンサルタントは、相談者の特性に合った職業選択や能力の開発・向上を助けるためのアドバイスをする専門家です。
キャリアコンサルタントは登録性の独占業務で、国家資格である「キャリアコンサルタント試験」に合格しなければなりません。
ここでは、キャリアコンサルタント試験の概要について解説します。
キャリアコンサルタント試験の概要
キャリアコンサルタント試験を実施している団体は2つありますが、試験の形式や合格点、受験料などについては差がありません。
試験内容は以下の通りです。
試験区分 | 出題形式 | 試験内容 | 試験時間 | 合格点 | 受験料 |
学科試験 | 筆記試験 | 四肢択一式マークシート | 100分 | 70/100点 | 8,900円 |
実技試験 | 論述試験 | 事例記録に基づく設問 | 50分 | 90/150点 (各評価項目の40%が必要) |
29,900円 |
面接試験 | ロールプレイ 口頭試問 |
20分 |
キャリアコンサルタント試験は、学科試験と実技試験の2つの試験区分から構成されています。学科試験は四肢択一の選択問題で、キャリアコンサルティングの役割や技法など、幅広い知識が問われます。
実技試験は論述試験とロールプレイから構成されています。論述試験は、キャリアコンサルティングのやり取りを記録した文章を元に論述で解答する試験です。ロールプレイは、実際にキャリアコンサルティングの場面を想定して実施され、内容に基づく口頭試問が実施されます。
受験資格
キャリアコンサルティング試験は、誰でも受験できる試験ではありません。以下の3つの受験資格のうちのいずれかを満たしている必要があります。
- 厚生労働省が認定する講習の課程を修了した
- 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験がある
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した
いずれも相応の時間と努力が必要になるため、キャリアコンサルティング試験の受験はそう簡単ではないと考えておきましょう。
出題範囲
キャリアコンサルタント試験の出題範囲は以下の通りです。
- 職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目
- キャリアコンサルティングの理論に関する科目
- キャリアコンサルティングの実務に関する科目
- キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目
- キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目
詳細な試験内容については、各団体の出題範囲に関する案内をチェックしてみてください。
団体によるキャリアコンサルタント試験の違い
キャリアコンサルタント試験を実施している団体は2つあります。
- 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会
- 特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会
基本的な試験形式や出題範囲には大きな差がないものの、論述試験の回答方式と面接試験の評価項目には若干の差があります。
論述試験の回答方式
論述試験では両団体共に、キャリアコンサルティングの記録を読んだうえで、クライアントの抱えている問題の把握や、「自分だったらどのようにコンサルティングを進めるか」といった観点での問題が出題されます。
「日本キャリア開発協会」の方は、相談事例が途中から2つのパターンに分岐します。それぞれの「良かった点」「良くなかった点」を把握して解答しなければなりません。
また、「日本キャリア開発協会」の方は、特定の語句を使用して解答しなければならない問題が含まれるなど、問題の出し方や設問に差があります。
各団体の過去問をチェックしておきましょう。
面接試験の評価項目
面接試験の評価項目にも、両団体で差があります。
団体 | 評価項目 |
日本キャリア開発協会 | 主訴・問題の把握 |
具体的展開 | |
傾聴 | |
キャリアコンサルティング協議会 | 態度 |
展開 | |
自己評価 |
各団体の試験要項をチェックしたうえで、受験生同士の練習や、講座・イベントへの参加で実践的な練習を積んでおきましょう。
キャリアコンサルタント試験の難易度
ここでは、キャリアコンサルタント試験の難易度について解説します。
受験者数・合格率の推移
キャリアコンサルタント試験の受験者数・合格者数は以下の通りです。
団体 | 回 | 受験方法 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
キャリアコンサルティング協議会 | 第22回 | 学科のみ | 3,375人 | 2,592人 | 82.2% |
実技のみ | 3,453人 | 2,256人 | 65.3% | ||
学科・実技同時受験 | 2,614人 | 1,551人 | 59.3% | ||
第21回 | 学科のみ | 2,613人 | 1,645人 | 63.0% | |
実技のみ | 3,092人 | 1,696人 | 54.9% | ||
学科・実技同時受験 | 2,230人 | 980人 | 43.9% | ||
日本キャリア開発協会 | 第22回 | 学科のみ | 1,642人 | 1,351人 | 82.3% |
実技のみ | 1,648人 | 1,039人 | 63.0% | ||
学科・実技同時受験 | 1,328人 | 787人 | 59.3% | ||
第21回 | 学科のみ | 1,545人 | 922人 | 59.7% | |
実技のみ | 1,664人 | 1,047人 | 62.9% | ||
学科・実技同時受験 | 1,259人 | 657人 | 52.2% |
(参考:合格発表|キャリアコンサルティング協議会
試験結果|日本キャリア開発協会)
キャリアコンサルタント試験の難易度
キャリアコンサルタント試験の合格率は、全体でもおよそ60%程度となっており、そう難しい試験ではないように感じる方も多いでしょう。しかし実際のところ、受験資格を得るまでに実務経験や講習の受講が必要になったり、実技試験もあることから、実際の難易度は低くはない試験です。
公認会計士や社労士といった他の国家資格試験に比べると難易度は若干下がりますが、合格率ほど簡単な試験ではないという点は押さえておきましょう。
キャリアコンサルタント試験の勉強方法
キャリアコンサルタント試験の勉強方法を、試験区分ごとに紹介します。
学科試験の勉強方法
学科試験単体の難易度はそれほど高くはありません。過去問や参考書を中心に問題形式に慣れ、とにかく多くの問題に触れることを意識しましょう。解説や間違えた問題の復習も忘れずに行い、知識の定着を図りましょう。
論述試験の勉強方法
論述試験も同じく、過去問や参考書を中心に繰り返し問題を解くことが大切です。論述試験は、50分という制限時間の中で自分の言葉で解答を書ききらなければならないため、時間内に正確に解答を記述する能力が求められます。
時間配分や効率的な解き方のコツをとらえるために、時間を測って実践と同じように解答しましょう。
面接試験の勉強方法
面接試験は、実際のキャリアコンサルティングの場面を想定して実施されるロールプレイと、ロールプレイの内容に関する口頭試問で構成されています。そのため、実際にロールプレイを繰り返して練習することが大切です。
勉強会や試験対策講座を活用し、同じ受験者の方や、可能であればすでに合格した人と練習を実施すると良いでしょう。相談者の年代や職業、性別などを変えながら練習してみてください。
まとめ
国家資格であるキャリアコンサルタント試験は、キャリアコンサルティングに関する幅広い知識と実践的なスキルを要求される資格試験です。受験資格を満たすには講座の受講や実務経験が求められるため、試験そのものの合格率よりも難易度は高いと考えて良いでしょう。
試験対策の際は、過去問や参考書で問題に慣れるのはもちろん、面接試験対策としてロールプレイも繰り返し実施しておきましょう。