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「スペシャリスト試験」は、エンジニアとして国内トップレベルの実力を証明する資格試験です。難易度が高く合格率は低いものの、取得できればキャリアアップの大きなチャンスになることからも、取得を検討している方も多いでしょう。
ここでは、各種スペシャリスト試験の概要と難易度、勉強方法について解説します。受験を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
スペシャリスト試験とは
「スペシャリスト試験」とは、IPAが認定している国家試験「情報処理技術者試験」の一種で、「データベーススペシャリスト試験」「ネットワークスペシャリスト試験」「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」という3つの試験のことです。
「スペシャリスト」という名のつくことから分かる通り、各分野における国内トップクラスの能力を認定する資格試験となっています。難易度は非常に高いものの、合格できればその分野における高い技能を証明することができます。
各スペシャリスト試験の概要
ここでは、各スペシャリスト試験の概要をご紹介します。
データベーススペシャリスト試験
「データベーススペシャリスト試験」は、データベースの企画や要件定義、開発、運用に関する専門的な技能を問う資格試験です。現在は年に1回、10月に実施されています。
試験は「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4つに分かれています。
科目 | 試験時間 | 解答数/出題数 | 出題形式 | 合格基準 |
午前Ⅰ | 50分 | 30問/30問 | 四肢択一 | 60点/100点満点 |
午前Ⅱ | 40分 | 25問/25問 | 四肢択一 | 60点/100点満点 |
午後Ⅰ | 90分 | 2問/3問 | 記述式 | 60点/100点満点 |
午後Ⅱ | 120分 | 1問/2問 | 記述式 | 60点/100点満点 |
午前Ⅰ試験は、「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」と同じくITに関する広い知識を問われます。午前Ⅱ試験も基本的には同様ですが、全体の7割程度をデータベース関連の基礎知識を問う問題が占めています。
午後試験はいずれも、データベースに関する専門的で高度な技能を問う、記述式の試験となっています。特にデータベースの設計に関する問題は毎年出題されるため、重点的な対策をおすすめします。
(参考:データベーススペシャリスト試験)
ネットワークスペシャリスト試験
「ネットワークスペシャリスト試験」は、ネットワークの要件定義や設計、構築、運用に関する専門的な技能やセキュリティに関する知識を問う資格試験です。現在は年に1回、4月に実施されています。
試験は同じく、「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4つに分かれています。
科目 | 試験時間 | 解答数/出題数 | 出題形式 | 合格基準 |
午前Ⅰ | 50分 | 30問/30問 | 四肢択一 | 60点/100点満点 |
午前Ⅱ | 40分 | 25問/25問 | 四肢択一 | 60点/100点満点 |
午後Ⅰ | 90分 | 2問/3問 | 記述式 | 60点/100点満点 |
午後Ⅱ | 120分 | 1問/2問 | 記述式 | 60点/100点満点 |
午前Ⅰ試験はITに関する広い知識を問われます。午前Ⅱ試験も基本的には同様ですが、ネットワークとセキュリティに関する問題が全体の8割程度を占めています。
午後試験はいずれも、ネットワークに関する専門的で高度な技能を問う、記述式の試験となっています。単にネットワークに精通しているだけでなく、長い問題文から背景と必要情報を読み取り、正確に記述して伝える力がなければ突破することはできません。午後試験の出来が合否を左右すると言って良いでしょう。
(参考:ネットワークスペシャリスト試験)
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」は、IoTを含む組み込みシステムの要件定義、開発、運用に関する専門的な技能を問う資格試験です。事業戦略やハードウェア・ソフトウェアの要求仕様の策定など、高度な知識が問われます。現在は年に1回、10月に実施されています。
試験は同じく、「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4つに分かれています。
科目 | 試験時間 | 解答数/出題数 | 出題形式 | 合格基準 |
午前Ⅰ | 50分 | 30問/30問 | 四肢択一 | 60点/100点満点 |
午前Ⅱ | 40分 | 25問/25問 | 四肢択一 | 60点/100点満点 |
午後Ⅰ | 90分 | 2問/3問 | 記述式 | 60点/100点満点 |
午後Ⅱ | 120分 | 1問/2問 | 記述式 | 60点/100点満点 |
午前Ⅰ試験と午前Ⅱ試験は、ITに関する広い知識を問う四肢択一試験となっています。
午後試験はいずれも、組み込みシステム、ソフトウェア・ハードウェアの設計や保守に関する専門的で高度な技能を問う、記述式の試験となっています。近年では、IoTに関する問題の出題が増えてきています。
(参考:エンベデッドシステムスペシャリスト試験)
午前Ⅰ試験の免除について
各スペシャリスト試験については、以下のいずれかの場合に午前Ⅰ試験の受験が免除されます。
- 応用情報技術者試験(AP)に合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
(引用:午前Ⅰ試験免除 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験)
勉強の負担を減らせるため、有効に活用しましょう。
なお、応用情報技術者試験については、以下の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】応用情報技術者試験の難易度は?おすすめの勉強方法を徹底解説
各スペシャリスト試験の難易度
IPAが実施している「情報処理技術者試験」は、難易度によってレベル1~4に区分されています。
各スペシャリスト試験の難易度は最上位の「レベル4」です。
ここでは、各スペシャリスト試験の難易度について簡単に解説します。
データベーススペシャリスト試験の難易度
データベーススペシャリスト試験の難易度は、かなり高いと言って良いでしょう。試験の合格率は10%台後半になることが多く、年によっては15%を下回ることもあります。国内で受験できるデータベース関係の資格としては最高峰の難易度の試験で、データベースエンジニアとしての経験があったとしても半年~1年の勉強期間は確保したいところです。
ネットワークスペシャリスト試験の難易度
ネットワークスペシャリスト試験も、同じく難易度がかなり高い資格試験です。合格率は例年10%台前半となっており、この点に関してはデータベーススペシャリスト試験よりも難易度が高いと言えます。
国内で受験できるネットワーク関係の資格の中では、「Cisco技術者認定」の「CCIE」に次ぐ難易度の試験と考えられています。CCIEは全試験英語で受けなければならず、実技試験もあるため、ネットワークスペシャリスト試験よりも難易度が高い試験です。ネットワークスペシャリスト試験への合格後に取得を検討すると良いでしょう。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度
エンベデッドシステムスペシャリスト試験も、難易度がかなり高い試験です。合格率は10%台後半となっており、他の2つのスペシャリスト試験と比べると若干難易度は下がります。しかし、計算問題の増加やIoT分野からの出題など、簡単には対応できない試験であることは間違いありません。
スペシャリスト試験の勉強方法
最後に、各スペシャリスト試験の勉強方法として、「独学」と「通信講座の受講」という2つについて解説します。
独学
難易度は高いものの、スペシャリスト試験は独学でも合格できる試験ではあります。独学で受験する場合は、まずは自分がスペシャリスト試験を受験できるレベルの実務経験を積んでいるか、十分な技術があるかどうかを検討してみてください。それぞれの試験に受験資格は設定されていませんが、十分な実務経験がない状態から受験を検討しても合格は難しいでしょう。
過去問を十分にやりこんで傾向を知り、長文読解に慣れ、記述による解答づくりの練習を積むことが大切です。特にネットワークスペシャリスト試験とデータベーススペシャリスト試験に関しては参考書が豊富にあるため、自分に合ったものを選択しましょう。
通信講座の受講
通信講座の受講もおすすめです。スペシャリスト試験はいずれも難易度がかなり高く、十分な実務経験があったとしても合格は簡単ではありません。通信講座を受講すれば、効率的に要点をおさえた学習ができ、記述式の試験など、不慣れな出題形式の問題についても、講師の添削を受けながら学習を進められます。
独学での学習に不安がある方は、通信講座の受講も視野に入れてみましょう。
まとめ|スペシャリスト試験でトップレベルのエンジニアへ
スペシャリスト試験は難易度がかなり高い試験ではありますが、取得できればキャリアップのための大きな武器になります。各分野についての専門的なスキルと知識が要求されるため、十分な実務経験を積んでから受験を検討するのがおすすめです。
いずれも合格率10%台の難関のため、独学での受験に不安がある方は通信講座の受講も検討してみてください。独学よりも効率的に学習できるため、挫折が心配な方でも合格率を高めることができるでしょう。